陽だまりの花畑

一番最初の場所に別れを告げる。
１１ヶ月前、おいでと言う彼に、何もわからずついていって入れて貰った場所。
優しくて暖かい、居心地の良い場所。
沢山迷って決めたの。
あまりにパドゥは世界を知らなすぎるから。
初心忘れるべからずとは言うけれど、古きを温め新しきを知ろう。
またいつだって顔を出せるから、さよならなんかじゃないしね。
大好きな君のように、もっともっと外を見てみたくて。

行ってきます。

最近よく考える。
ガーディアンとはなんであるか。
力をくれた彼を守るのが私の今のお仕事。
けれど私は彼の傷の在処も、知らなくて。
いつかあなたが話してくれるのを待っている。だけで。
守れているのかが自信がなくて。あなたを幸せに出来ているのかに自信がなくて。
ガーディアンであるのを望まれていないような気さえして。
危ないことをせずに、お菓子を焼いて、お家のことをしていた方が…なんて時々考える。
それを口に出せないのは私のわがままで、彼のためのエンドブレイカーだったはずなのに。
守りたいものが沢山あるの。
抱きしめて居たいものが沢山あるの。
勿論、あなたが危ないからやめろと言ったら辞めるのだけど。
もう少しわがままで居させて下さい。
彼女のガーディアンでも居たいだなんて、最近思う。
沢山の人が笑って居られたら良いのにね。

平和な日々が遠ざかる気がしてる。
小さな暇に心臓が跳ねるのを感じる。
何故だろう、いつもと変わらぬ日常なのに。
何かが起こる気がしてる。
どうか、気のせいでないように。
もう少し、この優しい日常を。

あの子から届いた手紙に一度息を止めた。

でも、大丈夫。だって、はじめて出来た親友だから、大丈夫。

だからこそ、いつでも会えないのは寂しいけれど、出会ったころからあの子はいろんなところを見て回る子だから。

だから、離れるのは当たり前。

同じ場所に居なくても、きっといつも通りだよね。




桜色の彼女に送った、パドゥの誕生日からずっと続いていた手紙の流れを打ち切ってのお手紙。

心だけは沢山こめて、パドゥの気持ちをつめこんで。

少しの勇気。

宝物は、いつでも腕の中、なくしてしまわぬよう、磨いていられるよう。

わがままで、ごめんね。

お元気でしょうか。
パドゥは、名前と生を下さったあなたが今生きているのかさえ知りませんが。
お元気でしょうか。
幼い時分はあなたに会いたいとよく思いましたが今はとても幸せなのであなたが今幸せであればよいなと願っています。
あなたのおうちのお仕事をお手伝いできるようになりました。
お父さんと一緒に暮らして居るのなら多分お父さんのお手伝いもできるようになりました。
あなたたちから貰った命は、こんなに逞しく育っています。
女の子らしさに欠ける私にも、大切にしてくださる方が出来ました。
私がよく、一方的に拗ねたりしますが人慣れし辛い私の心を辛抱強く待って、私を尊重してくださる優しい方です。
勿論、とても大切です。
とても沢山お友達も出来ました。私に兄弟は居たんでしょうか。とても優しいお兄ちゃんのような方や、私に似て、心がよく揺れる可愛い親友も出来ました。
自分でお店もやってます。手作りのお菓子を作ってますが、先日、店員さんが１９人にもなりました。
みんなみんな、とても可愛いです。毎月のお給料は少し、大変ですが。

まだまだ、話したいことが沢山あります。
聞きたいことも沢山あります。
あなたの娘の噂が聞こえたら、良ければ会いに来て下さい。
私は今、とても幸せです。

髪飾りを綺麗にしてもらって、
蔓薔薇とブーケをセットで磨いて貰った。

今の目標は髪飾りのお兄ちゃんだから、少しでも追いつけたら良いな、なんて。